「信頼貯金」と呼ばれるものは, 一緒に仕事をする仲間との間にあるはずで, 信頼貯金があれば, 提案が通りやすくなったり(成果が出ることを信じてもらえやすくなる), 作業の進め方やスケジュールを任せてもらえるようになる(おおよそ予定通り着地するであろう, と思ってもらえる). 一方で信頼貯金がなくなっていくと, その逆で, 提案をする時にその根拠などを丁寧に持っていかないと納得してもらえなかったり, 作業をする時にスケジュールを信じてもらえなくなってしまって, 定期的に様子を聞かれたり, 進捗共有を求められたりしてしまう.
現実の貯金と同じで, 信頼貯金もまた「貯めにくく, 失いやすい」ものと思う. 良い仕事をしたり, 当初の想定以上に仕事が素早く終われば信頼貯金は若干増えそう.一方逆で, 想定していたものに遠く及ばない仕事をしてしまったり, 予定よりも時間がかかってしまってスケジュールを超過すると信頼貯金はガクッと下がってしまう. ちなみに, 逆に考えると「想定よりも多めの(例えば10倍とか...)バッファを積んで, 素早く終わらせる」と"当初の想定以上に仕事が素早く終わ"るので信頼貯金貯められるのでは? と思うけど, 流石に10倍もバッファを積むと「おかしくね?」ってなるし, その辺りバレないギリギリのラインを攻めると, 結局妥当なバッファになって, 何かしらの要因で仕事がうまく行かなかった時に普通に消化してしまうと思うので, その辺りのハックで信頼貯金を貯める(?)のはおすすめできない気がする. それだったら, 事前に/作業中に良い作戦を考えて, それによって作業がシュッと終わるのを狙う方が現実的な気がする.
...ということを考えると, 信頼貯金をうまくコントロールするには, 「貯める」方ももちろん大事だけど, 何よりも「失う」側をなるべくコントロールするのが大事という気がする. もちろん人間, 失敗をする生き物なので, 想定もしない出来事によって何かしらのミスをしてしまい, 信頼貯金を失ってしまう... というのは避けられないと思うけど, それでも避けられるものは避けたいはず. そのために考えていることを記す.
まずは「明日出来る事は明日やる, 今すぐ出来る事は今やる」ということ. なんか矛盾している言葉な気もするけど, どういうことか説明していく. まず自分はコンテキストスイッチ大嫌い人間ということがわかってきており, 例えばタスクA, タスクB, タスクCがあると並行で進めていくよりも, 先にガッとタスクAを進めて, 終わったらタスクBを進めて... みたいにやっていくのが好き. 例えばステーキとスープとサラダがあったら, 先にサラダ食べて, 次にスープ食べて, 最後にステーキを食べるみたいな. 三角食べは苦手っていう感じ. なので, タスクA〜タスクCの期限や作業内容など考慮して比べて, 「明日出来る事は明日やる」つまり「明日(後)に出来るものはなるべく後ろ回しにする」, ということ. 余談だけど, コンテキストスイッチ大嫌い人間なので, MTGセッティングする時はまとめがち(2時間あったとき, 30分ごとにMTGと作業時間を繰り返すより, 1時間作業して1時間MTGする方が好き). なのでMTGやりましょう, となった時は「じゃあスケジュール設定しますね!」と主導権を握って(?)自分と相手の事を思いやりつつなるべく都合の良い時間に入れたりしています.
で, 「どれを後回しに出来るか?」というのを考えると, 単に期限で並び替えるだけでなく, 作業内容や作業量についても考察する必要がある. 例えば, 締め切りが1週間後のタスクと2週間後のタスクがあったとして, 単純に期限だけを見て「じゃあ先に締め切りが1週間後のタスクやって, その後に締め切りが2週間後のタスクを...」とするのは危険. ある程度, 頭の中で(或いはメモしながら)こういう作業が必要そう, これくらい時間がかかりそう, というのを計算して, 例えば「2週間後が締め切りのタスクはやったことなくて, ギリギリに作業開始すると危ないかも. 1週間後が期限のタスクはやったことあってまあ直前でも出来そうだから, 先に2週間後のタスクをやろう」みたいなことを考える. 後はうまくいかなかった時のインパクト, みたいなのも大事な要素で, 「もしも間に合わなかった時に, このタスクは"なんとかなる"か?」みたいなのも考える. 例えば受託開発でお客様に納品をするようなタスクの場合, それに遅れると大変なことになるので, 先に対応するようにスケジューリングしたり. それに比べると, 例えば社内でアサインされたタスクは最悪の場合「すいません... スケジュール変更させてください...」と言いやすい(事が多い)ので後回しにするとか. もちろん社内タスクでも締め切りに間に合わないと大変なものもあるので, その辺りはしっかり考える必要がある. タスクが詰まってくると, 「実際の締め切りはいつか?」みたいなのも考えることがあって, 例えば「締め切りは12月20日中」と言われた時に, 「それは12月21日の0時なのか, 翌営業日(12月21日)の始業時間までなのか?」みたいな事を考えてスケジューリングすることもある. ...まあこれは極まった時の出来事ではありますが, 時折それくらい慌ただしい時は登場すると思います.
さっき, 「なるべくタスクは1つずつ片付けていきたい」と書いたけど, 絶対にそうしている訳ではない. 例えば待ち/確認時間だったり, 煮詰まった時だったり, そういう時は先の締め切りのタスクをやっていくこともある. 特に煮詰まった時に, 息抜きとして他のタスクをするのは大事で, メインタスクが煮詰まった時にサブタスクで手を動かすと, そのままの勢いでメインタスクも進みだしたりすることがある. 自分は毎朝, 「大事だな〜」と思ったことをまとめたモットーをシュッと眺めてから仕事をしているのだけれど, その中に「手が動かない時は急がば回れ, 小さいタスクで勢いに乗る, 或いは体を動かそう」というのがある. なので, 「納期はない(或いは緩い)し小さいタスク(例えばリファクタリングとか...)」をストックしておくようにしている.
そのためにも, タスクの粒度は小さくしておくのが大事で, どういうことかというと, 例えばタスクAを優先的に取り組んでいて, タスクBはその次...というときに, タスクAが一旦(例えばレビュー依頼とかで)待機になった時, 「タスクBやるぞ!!!」と言ってタスクBを初めたところ, タスクBが一段落するまでに時間がかかりまくって, タスクAが進められるようになったのに放置してしまう... みたいなことが起こりがち(コンテキストスイッチしたくないがあまり). なので, タスクを小さく区切っておいて, メインタスクの待ち時間に収まる程度になっていると理想的. そういう感じで, タスクを細かく区切っていくと, 「これは案外今すぐ出来るな?」みたいなものが出てくる. 例えば, 「○○について確認する」とか, 「××の申請をする」とか. こういうのは, 「今すぐ出来る事は今やる」ということで, 先にシュッとやってしまう. 正確に言えば, 「今すぐ出来てやる気があれば今やる」が正しくて, やる気がなかったら「(納期がちょっと先な)小さいタスク」としてストックしておいて, 空き時間や集中力が切れた時にやったりしている.
あとはまあ当然だけど, ちゃんとタスクやToDoをまとめて見れるようにしておく, というのも大事. 最近だとTodoistで私生活のことをまとめる + (会社の)Scrapboxに仕事のことをまとめる, みたいな感じにしています. この日に必達! みたいな大事な仕事のスケジュールとかは, ScrapboxだけでなくTodoistにも登録しておいて, 抜け漏れを防止したりもしていますね. Scrapboxだと, 箇条書きで気軽に書けるので, あるタスクを割り振られた時, それガーッとメモしながら分解したりする作業がしやすいのがGood.
...まあ, とはいえ, いろいろやっていてもタスクを忘れる時は忘れるし, 見積もり通りに作業が進まなくてスケジュールが超過してしまう時があります. 自分の場合は, アサインされたことを記録し忘れた時とかは, もう管理しようがないのでそうなりがちです(そうならないように, タスクがアサインされたらなるべく素早く記録するようにしていますが, そう思っていてもマジで忘れる時は忘れる!!!!!!!!). そういった出来事を, 時間をさかのぼったりしてなかったことにはできないので, 後はこれからいかにリカバリをするかを考えるのが大事. まずは然るべきメンバーに現状を共有して, 理由や代替案などを共有する. なるべく素早く終われるように全力で作業をする(こういう時, 自分の責任なので積極的に残業したり休日出勤したりすることがあります). 後は自分の中で振り返りをして, そういった出来事をなるべく防ぐためにはどうすればよかったか? というのを考えて, 作業の進め方やタスクの管理方法を改善していく. ここに書いたことも, そういう振り返りを繰り返してなんとなく出来上がっていったモノ... という気がします. 一時はありとあらゆるタスク/ToDoをTodoistで管理していたけど, 最近はScrapboxと併用するようになったりしているので, まあ自分や仕事などの状況を鑑みて, タスクの管理方法は適切に変えていけるのが良さそう.
あとはあれかな, 「スケジュール間に合いそうにないッス...」というのは, 早く共有すれば早く共有するほど良いはず(代替案が出しやすくなる = リカバリーしやすくなる). なので, そこを考えるのも大事かなって思いました. 例えばタスクを小さく分割するときに, それぞれに締め切りを設けておいて, それを過ぎたら「間に合わないかもしれんッス」とアラートを挙げるとか. アラートも多分, 分割して(?)出せると良さそうで, 突然「このままじゃ間に合いません!」と突然言われると「エッ!?」ってなるけど, 「なんか進捗悪くなりつつあります」→「予定より遅れが出てます」→「遅れまくってて, このままだと間に合わないです...」という感じで言えると, 仲間もサポートしやすそう. これは私見だけど, 「信頼貯金」を失う量(?)は, その失う理由の衝撃度にある程度比例する部分があると思っていて, なので突然「もうダメっす」って言うよりも, 段階的に伝えた方が衝撃度が低まって良さそうと思います.